コロナ禍における合唱活動を考える [歌うことについて]
コーラス・カンパニー オンラインセミナー 【学び舎 遊人シリーズ】
緊急企画 「コロナ禍における合唱活動を考える 公衆衛生学の見地から
~私たちはいったいいつになったら歌えるのか?」
三道ひかり(保健学博士、日本音楽療法学会認定音楽療法士)
本山秀毅(合唱指揮者、大阪音楽大学学長)
坂元勇仁(レコーディング・ディレクター)
聴講したので概要を記します。テキトーなところも多々あります。(*はたまの注記です)近日中に録画がYouTubeで見られる予定。ただし日数限定。 また、レジュメも出ると思いますので、簡単なものです。
参加者720名
東京・神奈川・埼玉の人中心に全国から。50代以上が7割。
合唱練習の再開については開始し……ている10% 間もなく開始40%/しばらく休む50%/未定10%(多分)
合唱連盟は今月末にガイドラインを出す予定(遅いっ!)
以下三道ひかりさんの解説中心に話が進む。
三道さんの専門は公衆衛生。音楽療法は対個人でやるが、そこから興味の範囲を広げ、音楽活動による団体的な精神の安定というあたりへ移った。
結論的には
芸術活動への参加はコーピングスキル(ストレス低減のための技術)への直接的影響があると考えられる。
合唱はヘルシービヘイビア(健康的な行動)につながる活動であり、合唱に関わる者は社会の健康度を上げる責任を持っているのではないか。
ヘルスプロモーション(健康増進)=今持っている健康を最大限活用し、よりよく生きることを支援する。健康を啓蒙していくというようなもの。
その観点から合唱の重要性を論じることができる。
歌を歌うことによる効果……身体的効果。心理的効果。人と繋がる。人前で演奏する=見た目に対する意識。創造経験の喜び。すべて保健資源と言える。
合唱の目標をどこに置くのかを明確化する。何のために歌うのかをもう一度考え直す。
以上、合唱の効用。不要不急ではないと訴えかけるべきポイントの解説。
以下COVID19と合唱について
歌うことによって飛沫が出る。母音ではI、子音ではdbg が飛沫が出やすい。
大きな飛沫は90センチぐらいの間に落下するが、小さな飛沫はエアロゾル化し、空中に漂う。数時間は漂っていると言われている。
マスクをすることによる飛散の低減効果ついては、ドイツにおける実験がある。
普通に発声すれば、呼気はかなりの量が前方へと飛んでいく。
サージカルマスクをすると上部に気体が抜けていく。量も少ない。布マスクも同様だが、サージカルよりは漏れが大きい。
フェイスガードは下へ抜けていく。量的にはマスクよりも大きく、フェイスガードの効果はいまいちな感じである。(*このセミナー以外のほかの実験では、下から抜けて結局拡散してしまうので効果が無いというものもある。)
合唱用マスクのようなものの開発が求められる。
密閉した空間にいると、エアロゾルを吸う確率が高くなるので、喚起をする。窓もドアも開け放して歌うのが良い。扇風機を併用するのも良い。
歌っている最中に換気が出来ない場合は、人が部屋から出て、換気をする。30分に一回、5分くらいか? 実証的データが無いので何とも言えないが。
ノルウェーでは空間バッファー(緩衝帯)2㎡ 演奏者3㎡ 横゜1.5メートル 前後2メートル 相当広い空間が必要である。
ノルウェーのこの見解を見たイギリスの人は、ノルウェーならできるかも知れないが、イギリスじゃ無理、と言ったそうだ。地域、状況によってフレキシブルに考えなければならない。
そういう状況を回避するため、海辺で歌う。屋外で歌うなどとしている団体もある(アメリカ)。
その他の注意事項としては、楽譜を共用しないなど、触れ合いの機会を減らす。
また、歌の練習よりも、合間のおしゃべりの方が感染確率を高めていると思われる。そういうことに注意する。
まとめ
1ワクチンや特効薬のない現状では、活動再開には十分な注意が必要
●合唱活動を行わなければ感染リスクは抑えられる。
●活動再開は感染リスクを引き上げる。
2地域・コミュニティにあった合唱活動を模索する。
●活動再開は地域の状況を見て、柔軟に。
●他ジャンル(スポーツ、ダンスなど)がどうしているかを知る
●ステイクホルダー(役場、医療機関、社会福祉協議会)などと共同できると、地域と繋がりを作りながら、合唱活動への支援が得られる。
3柔軟な合唱の形を考える
●ストリーミング需要のさらなる拡大(音楽産業の転換期)
●テクノロジーを取り入れることを恐れずに
*リモート合唱などの試みを評価しているが、聖歌隊で歌ってきた合唱少女なので、歌うことの意味を理解した上での発言である。
*三密回避、マスク着用等、すべて、その場に感染者がいる、という前提の動作である。しかし、もしも感染者がいるとすれば、このような努力によっても防げない可能性はある。もちろん感染リスクは下がるだろうが、絶対ではない。話題の中には特に感染させやすい人がいるという話が出た。声が大きいとかそういうのではないらしい。具体的などんなタイプなのかわかっていないので、ほとんど都市伝説である。もしもそうであれば、合唱の再開とは何なのかをみなが理解した上で足を踏み出すしかないだろう。
*聴講者のアンケートでは、団員の歩調がそろわない、指揮者と団員の間に溝が在る、等の意見も出た。どうすべきか、ではなく、どうしたいのか、それを基礎にして考えていかねばならない。私たちは今まで非常に安易に歌ってきたが、それ自体を見つめ直すべき時なのだと言われたように思う。
*本山先生の発言はすべて理にかなったもので、共感するところ大だった。合唱は立ち直れるはず、とおっしゃっていた。
緊急企画 「コロナ禍における合唱活動を考える 公衆衛生学の見地から
~私たちはいったいいつになったら歌えるのか?」
三道ひかり(保健学博士、日本音楽療法学会認定音楽療法士)
本山秀毅(合唱指揮者、大阪音楽大学学長)
坂元勇仁(レコーディング・ディレクター)
聴講したので概要を記します。テキトーなところも多々あります。(*はたまの注記です)近日中に録画がYouTubeで見られる予定。ただし日数限定。 また、レジュメも出ると思いますので、簡単なものです。
参加者720名
東京・神奈川・埼玉の人中心に全国から。50代以上が7割。
合唱練習の再開については開始し……ている10% 間もなく開始40%/しばらく休む50%/未定10%(多分)
合唱連盟は今月末にガイドラインを出す予定(遅いっ!)
以下三道ひかりさんの解説中心に話が進む。
三道さんの専門は公衆衛生。音楽療法は対個人でやるが、そこから興味の範囲を広げ、音楽活動による団体的な精神の安定というあたりへ移った。
結論的には
芸術活動への参加はコーピングスキル(ストレス低減のための技術)への直接的影響があると考えられる。
合唱はヘルシービヘイビア(健康的な行動)につながる活動であり、合唱に関わる者は社会の健康度を上げる責任を持っているのではないか。
ヘルスプロモーション(健康増進)=今持っている健康を最大限活用し、よりよく生きることを支援する。健康を啓蒙していくというようなもの。
その観点から合唱の重要性を論じることができる。
歌を歌うことによる効果……身体的効果。心理的効果。人と繋がる。人前で演奏する=見た目に対する意識。創造経験の喜び。すべて保健資源と言える。
合唱の目標をどこに置くのかを明確化する。何のために歌うのかをもう一度考え直す。
以上、合唱の効用。不要不急ではないと訴えかけるべきポイントの解説。
以下COVID19と合唱について
歌うことによって飛沫が出る。母音ではI、子音ではdbg が飛沫が出やすい。
大きな飛沫は90センチぐらいの間に落下するが、小さな飛沫はエアロゾル化し、空中に漂う。数時間は漂っていると言われている。
マスクをすることによる飛散の低減効果ついては、ドイツにおける実験がある。
普通に発声すれば、呼気はかなりの量が前方へと飛んでいく。
サージカルマスクをすると上部に気体が抜けていく。量も少ない。布マスクも同様だが、サージカルよりは漏れが大きい。
フェイスガードは下へ抜けていく。量的にはマスクよりも大きく、フェイスガードの効果はいまいちな感じである。(*このセミナー以外のほかの実験では、下から抜けて結局拡散してしまうので効果が無いというものもある。)
合唱用マスクのようなものの開発が求められる。
密閉した空間にいると、エアロゾルを吸う確率が高くなるので、喚起をする。窓もドアも開け放して歌うのが良い。扇風機を併用するのも良い。
歌っている最中に換気が出来ない場合は、人が部屋から出て、換気をする。30分に一回、5分くらいか? 実証的データが無いので何とも言えないが。
ノルウェーでは空間バッファー(緩衝帯)2㎡ 演奏者3㎡ 横゜1.5メートル 前後2メートル 相当広い空間が必要である。
ノルウェーのこの見解を見たイギリスの人は、ノルウェーならできるかも知れないが、イギリスじゃ無理、と言ったそうだ。地域、状況によってフレキシブルに考えなければならない。
そういう状況を回避するため、海辺で歌う。屋外で歌うなどとしている団体もある(アメリカ)。
その他の注意事項としては、楽譜を共用しないなど、触れ合いの機会を減らす。
また、歌の練習よりも、合間のおしゃべりの方が感染確率を高めていると思われる。そういうことに注意する。
まとめ
1ワクチンや特効薬のない現状では、活動再開には十分な注意が必要
●合唱活動を行わなければ感染リスクは抑えられる。
●活動再開は感染リスクを引き上げる。
2地域・コミュニティにあった合唱活動を模索する。
●活動再開は地域の状況を見て、柔軟に。
●他ジャンル(スポーツ、ダンスなど)がどうしているかを知る
●ステイクホルダー(役場、医療機関、社会福祉協議会)などと共同できると、地域と繋がりを作りながら、合唱活動への支援が得られる。
3柔軟な合唱の形を考える
●ストリーミング需要のさらなる拡大(音楽産業の転換期)
●テクノロジーを取り入れることを恐れずに
*リモート合唱などの試みを評価しているが、聖歌隊で歌ってきた合唱少女なので、歌うことの意味を理解した上での発言である。
*三密回避、マスク着用等、すべて、その場に感染者がいる、という前提の動作である。しかし、もしも感染者がいるとすれば、このような努力によっても防げない可能性はある。もちろん感染リスクは下がるだろうが、絶対ではない。話題の中には特に感染させやすい人がいるという話が出た。声が大きいとかそういうのではないらしい。具体的などんなタイプなのかわかっていないので、ほとんど都市伝説である。もしもそうであれば、合唱の再開とは何なのかをみなが理解した上で足を踏み出すしかないだろう。
*聴講者のアンケートでは、団員の歩調がそろわない、指揮者と団員の間に溝が在る、等の意見も出た。どうすべきか、ではなく、どうしたいのか、それを基礎にして考えていかねばならない。私たちは今まで非常に安易に歌ってきたが、それ自体を見つめ直すべき時なのだと言われたように思う。
*本山先生の発言はすべて理にかなったもので、共感するところ大だった。合唱は立ち直れるはず、とおっしゃっていた。
2020-06-14 16:12
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